海外不動産投資とは?メリットデメリットやおすすめの国・成功のコツまで解説
資産運用方法のひとつとして「海外不動産投資」に注目する人が増えていますが、メリットデメリットは何なのか、誰でも海外の不動産に投資できるのか知りたいという人も多いのではないでしょうか。
海外には投資先として魅力的な国や地域が多いものの、言語や文化が違うため、さまざまなリスクもあります。海外不動産投資を検討する際は、メリットやデメリット・リスクを比較しながら投資するかどうかを判断しましょう。
この記事では、海外不動産投資のメリットやデメリット、投資先としておすすめの国や成功のポイントまで詳しくお伝えします。
海外不動産投資に興味がある方や、実際に投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。資産形成の新たな一歩となる情報が見つかるはずです。
・目次
海外不動産投資とは
海外不動産投資とは、日本以外の国や地域の不動産を購入し、賃貸収入(インカムゲイン)や不動産の売却益(キャピタルゲイン)を得ることを目的とした投資法のことをいいます。
日本では長年低金利が続き、経済成長率も停滞していますが、海外では成長著しい国が多くあります。
そのような国の不動産に投資することで、国内市場にはない高い利回りを得られたり、不動産の売却益を得られたりすることが海外不動産投資の魅力です。
また、日本以外の国に不動産という「資産」を保有することで、資産分散ができるというメリットもあります。
海外不動産投資の対象は、住宅や商業施設、リゾート物件などさまざまです。
ただし、海外は法制度や税制度、経済状況や政治情勢が日本と異なります。そのため、投資する際にはしっかりと下調べを行って、長期的に収益を得られるような物件を選ぶことが大切です。
海外の不動産取引を行う際は投資国の法律が適用されるため、信頼できる不動産会社や管理会社を見つけて、正式な手順で不動産投資を行うようにしましょう。
海外不動産投資のメリット
海外不動産投資には、大きく分けて3つのメリットがありますので紹介します。
海外不動産価格の上昇で売却益が期待できる
海外不動産投資の大きな魅力のひとつは、不動産価格の上昇による売却益が期待できる点です。経済成長率や人口増加率が高い国では、不動産需要が高まり物件価格が上昇するケースが多いため、大きな利益が得られる可能性があります。
特に、マレーシアやベトナム、フィリピンなど新興国で開発が進むエリアや、世界中から観光客が訪れるリゾート地などは、今後不動産価格が大きく上昇する可能性があります。
また、政府や大企業が大規模なインフラ整備を進めるエリアや、外資系企業が進出するエリアなどは不動産価格が上昇する可能性が高いため、不動産の売却益が期待できます。
安定した家賃収入が期待できる
人口が増加して都市化が進む国や地域では、住宅の需要が供給を上回ることが多く、安定した家賃収入が期待できます。
また、観光地やビジネスエリアに近い物件は、短期賃貸・長期賃貸いずれの場合もニーズが高く、日本より高い利回りを得られる可能性があります。海外不動産投資をする際は、賃貸需要が高いエリアの物件を保有することが成功のコツです。
保有不動産を賃貸に出す場合は、信頼できる現地の管理会社を見つけ、きちんと管理してもらう必要があります。
ただし、管理会社に委託する場合はコストがかかるため、管理コストを含めた戦略をしっかり立てるようにしましょう。
資産の分散ができる
海外不動産を保有することで資産分散でき、効果的に投資リスクを下げられるというメリットがあります。
投資において、「分散投資」は投資リスクを軽減させるための効果的な手法です。
分散の方法としては、以下の3つがあります。
- 株式や債券、不動産、金などの異なる資産に投資する「投資対象の分散」
- 投資先の国や地域を分ける「地域の分散」
- 日本円だけでなく外貨建ての資産を持つ「通貨の分散」
海外不動産に投資することで、3つすべての要素で分散できることになり、効果的な資産分散効果が得られます。
特に近年は円安が進み、「円以外の資産を持ちたい」と考える人も増えてきています。海外不動産を資産に組み入れることで、外貨建て資産を保有できることも大きな魅力といえます。
海外不動産投資はリスクが高い?8つのデメリット
海外不動産投資にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも多くあります。ここでは、海外不動産投資における8つのデメリットを詳しく紹介します。
不動産が値上がりしない場合がある
海外不動産投資では、安定した家賃収入に加えて、売却益を得られる可能性があることも大きな魅力です。
しかし、不動産価格の値上がりを期待して購入したのにもかかわらず、価格が上がらないというケースももちろんあります。
また、リーマンショックや戦争・通貨危機など、予測できない要素によって不動産価格が急落することも起こりえるため注意が必要です。
賃貸需要が高いエリアで適切な取り組みをすれば、ある程度安定的に家賃収入を得られる可能性が高いため、家賃収入(インカムゲイン)は収益の見通しが立てやすいといえます。
一方で、不動産価格は景気の状態や金利などに左右されるため、個人の努力でコントロールできない分野といえます。
経済成長率や人口増加率が高くても、不動産価格が上がらない場合もあります。売却益のみを狙った投資はリスクが高いことを覚えておきましょう。
不動産を売却できない場合がある
海外不動産投資では、希望するタイミングで不動産を売却できないことがあります。不動産を売れないケースでは、以下のような理由が考えられます。
- 需要と供給のバランスが崩れ、供給過剰気味の場合
- 人口減少が進むエリアで不動産価格が下落傾向の場合
- 老朽化や管理不良により物件の価値が大幅に下落した場合
海外不動産に投資する際は将来売却することを想定し、ニーズが高く売却しやすい物件を選ぶようにしましょう。
建物が完成しない場合がある
海外不動産投資では、建物の完成前に購入契約を締結する「プレビルド物件」があります。
プレビルド物件は、建物の完成後の販売価格よりも割安な価格で購入できることから、より大きなキャピタルゲインを狙える物件として、日本人投資家にも人気があります。
完成後の物件に比べて安価に購入できる理由は、購入時点では未完成であり、投資家が完成リスクを負うためです。
プレビルド物件のリスクは、以下のとおりです。
- デベロッパーの資金難により、建設が途中で停止することがある
- 計画中のプロジェクトが、政府や自治体の規制変更で停止することがある
- 地域経済の悪化や不動産市場の低迷で、デベロッパーがプロジェクトを放棄するケースがある
- 地元住民とのトラブルや自然災害が原因で工事が停止することがある
- 完成しても、予想より物件価格が上がらないことがある
- 需要の低いエリアの物件を選んでしまい、売却できないことがある
万が一、物件が未完成の状態でプロジェクトが停止した場合は売却もできないため、購入金額がそのまま損失額になってしまう可能性があります。
このように、プレビルド物件はさまざまなリスクがあります。
しかし、信頼できるデベロッパーを選んだり、建物が完成しない場合の補償内容を確認したりすることで、リスクを抑えつつ大きな利益を狙うことが可能です。
プレビルド案件を検討する際は、さまざまな情報を集めて精査し、信頼できるプロジェクトのものを選ぶようにしましょう。
不動産の管理に手間がかかる
海外不動産の管理は、国内不動産と比較して手間やコストがかかるというデメリットがあります。
海外不動産は直接見に行くことは難しいため、現地の管理会社に委託するケースがほとんどです。
しかし、言語や文化・法律の違いなどによって満足できる管理をしてもらえなかったり、トラブルが起きたりするため注意が必要です。
トラブル例として、以下のようなケースがあります。
- 担当者の返信が遅いなど、スムーズにコミュニケーションが取れない
- 修繕にかかる費用を実際より高く見積もり、差額を利益として取られてしまった
- 管理会社が経営不振に陥り、入居者から回収している家賃を流用してしまった
- 入居者による損傷や修繕が必要な個所を管理会社が放置したため、物件価値が下がった
- 管理会社が適切な審査を行わなかったため家賃滞納が発生し、そのまま入居者と連絡が取れなくなった
- 契約期間中にもかかわらず、突然管理料を値上げされた
現地の管理会社のトラブルを防ぐには、信頼性が高い、実績がある管理会社を選ぶことが大切です。
現地の弁護士や専門家のサポートを受けるなどして、信頼できる現地の管理会社を選ぶようにしましょう。
金融機関から融資を受けることが難しい
海外不動産に投資する場合、金融機関から融資を受けることが難しく、ローンを組めないケースが多くなっています。
いくつかの金融機関はローンを取り扱っているものの、担保が必要だったり、投資先の国が限定されていたりして条件が厳しいため、資金を借りることは非常に難しいといえます。
ただし、一部の海外不動産デベロッパーは自社の物件購入者向けに融資プランを提供している場合があります。
一般的な金融機関でローンを組めない場合でも、このようなケースではローンもしくは分割払いなどで購入できる可能性が高くなります。
海外不動産に投資したいけれどまとまったキャッシュがない場合は、融資プランを提供しているデベロッパーを探すことも一つの方法です。
為替リスクがある
海外不動産は日本円ではなく、その国の通貨で取引されることがほとんどです。そのため、為替変動の影響を受けた結果、損失が出てしまうリスクもあります。
例えば、1ドル100円の時に50万ドルの不動産を取得した場合、必要な資金額は5,000万円です。
その後、不動産価格が1割上がった55万ドルで売却する場合、同じ為替レート(1ドル100円)の場合は5,500万円となるため、500万円の利益が出ます。
しかし、円高が進み1ドル85円で売却した場合、売却額は4,675万円となり、物件価格が上がっているにも関わらず、325万円の損失が出てしまうことになります。
このように、海外不動産投資では為替の動きで大きな損失が出ることもあるため、注意が必要です。
海外の不動産を取得する前は、円高が有利です。一方で、取得した海外不動産を売却する場合は、円安が有利になることを覚えておきましょう。
自然災害リスクがある
海外不動産に投資する際は、日本の不動産に投資する場合と同じように、自然災害リスクに注意する必要があります。
地震や台風、洪水などが発生する地域では、不動産の価値が下がったり、高額な修繕費用がかかったりする場合があります。
例えば、修繕費用が高額になる例として、洪水被害で基礎構造を再建する場合や、台風で屋根全体を修繕する場合が挙げられます。
また、そのような地域では保険料が高額になる場合もあるため、投資コストがかさむリスクもあります。
海外不動産に投資する際は、自然災害についても綿密な調査を行うようにしましょう。
悪徳業者に注意する必要がある
海外不動産投資では、多くの場合、現地の不動産会社や管理会社を利用します。
しかし、投資家の知識不足や言葉の壁があることを悪用し、相場より高い物件を売りつけてきたり、実態のない物件を売る悪徳業者も存在するため、注意が必要です。
信頼できる現地の業者を探すには、現地で信頼できる人物や専門家など連携し、評判や実績を確認することが大切です。また、直接物件を確認したり、専門家に契約書を確認してもらうことも効果的です。
海外不動産投資を成功させるためにも、現地の業者を探す際は、手間を惜しまず事前調査を十分に行うようにしましょう。
海外不動産投資における国の選び方は?重視したいポイント
海外不動産に投資する場合、投資する国をどのように選べば良いのかと迷う人も多いでしょう。
ここでは、投資先を選ぶ際に、重視したい3つのポイントについて解説します。
経済成長率
海外不動産に投資する際は、投資先の経済成長率が重要な判断材料になります。
経済成長率が高い国が投資に適している理由は、以下のとおりです。
- 都市化や産業の発展により、住宅や商業不動産のニーズが高まることから、キャピタルゲイン(売却益)を得るチャンスが増える
- 経済成長に伴い中産階級が増えることから、住宅需要が拡大し、賃貸ニーズも高まる
- 経済成長が進むとインフラが整備される地域が増える。このような地域に先駆けて投資することで、早期投資のメリットが見込める。
- 経済成長率が高い国は外国人投資家を呼び込むために優遇政策を採用することが多く、投資しやすい環境が整っている
海外不動産投資で人気がある国は「マレーシア」「ベトナム」「フィリピン」「カンボジア」「アメリカ」の5つです。
それぞれの国の経済成長率は、「国際通貨基金 地域経済の見通し」によると以下のようになっています。
国名 |
2023年 |
2024年(予想) |
2025年(予想) |
マレーシア |
3.7% |
4.4% |
4.4% |
ベトナム |
5.0% |
5.8% |
6.5% |
フィリピン |
5.6% |
6.2% |
6.2% |
カンボジア |
5.0% |
6.0% |
6.1% |
アメリカ |
2.9% |
2.8% |
2.2% |
日本 |
1.9% |
0.9% |
1.0% |
日本やアメリカと比べるとアジアの経済成長が著しく、投資対象として将来性が高いことがわかります。
ただし、投資する国を決める際は、経済成長率だけでなく、人口の増加率や政情の安定といった要素も踏まえて総合的に判断するようにしましょう。
人口
海外不動産投資においては、人口の多さも重要な指標のひとつです。
人口が増加する国や地域では、住宅や商業不動産のニーズが高まるため、不動産価格が上昇する傾向があります。
また、人口増加エリアでは学校や病院、ショッピングセンターなどのインフラが整備されるため、周辺の土地価格が上がることが期待できます。
加えて、若い労働力が豊富な国では、農村部から都市部への人口流入が多くなる傾向があるため、賃貸市場が活発になり、安定した利回りを見込めるというメリットもあります。
このように、「人口が増加している国」「若年層の人口が多い国」は、不動産の需要を生み出すことから、不動産投資の対象として魅力がある国と判断できます。
外務省のHP「国・地域」によると、海外不動産投資で人気があるアジア各国とアメリカ、日本の人口は以下の通りです。
国名 |
2023年 |
マレーシア |
約3,350万人 |
ベトナム |
約1億30万人 |
フィリピン |
約1億903万人 (2020年) |
カンボジア |
約1,690万人 |
アメリカ |
約3億3,650万人 |
日本 |
約1億2,435万人 |
特に、フィリピンの人口増加率は高く、2050年には1億5,700万人を超えると予想されています。
外国人に対する優遇政策の有無
海外不動産に投資する際は、外国人に対する優遇政策の有無も重要なポイントです。
優遇政策の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 投資しやすいように不動産購入の手続きや規制が簡略化されている
- 外国人投資家が自由に母国に資金(利益)を送金しやすい仕組みがある
- 外国人でも土地を所有できる
- 固定資産税の減免や所得税の軽減措置がある
- 現地の金融機関で融資を受けられる
- 外国人に対する法的保護がある
外国人投資家への優遇政策が整備されている国は、急に政策が変更されたり、規制が強化されたりするリスクが低いため、安心して長期的な不動産投資ができると判断できます。
また、優遇政策がある国は外国人投資が集まって投資が盛んになるため、不動産価格の上昇も期待できます。
逆に、外国人投資家に対して規制が厳しい国は、突発的な政策変更で大きな損失を被る可能性があります。
海外不動産に投資する際は、外国人投資家を歓迎している国を選ぶようにしましょう。
海外不動産投資で収益が期待できるおすすめの国5選
海外不動産に投資する際は、経済成長率や人口増加率、政情の安定や治安など、さまざまなポイントを確認して決めることが大切です。
ここでは、海外不動産投資で収益が期待できる5つの国を紹介します。
マレーシア
マレーシアはASEAN諸国の中でも政治が比較的安定しており、外国人投資家を優遇する政策が整備されていることが特徴です。
また、外国人が長期に渡って滞在しやすい制度があり、不動産購入に伴う移住ニーズにも対応しています。
不動産価格は周辺国に比べて割安なため、長期的にはキャピタルゲインが狙えます。
また、人口も多いため都市部では安定した賃貸収入が期待できます。英語が広く通じることも大きなメリットといえます。
ベトナム
ベトナムは経済成長率が高く、中産階級の増加により住宅需要が伸びていることが特徴です。特に、若い労働人口が多いハノイやホーチミンが投資先として人気があります。
2005年に外国人による不動産所有が可能になり、マンション投資が盛んに行われていますが土地の保有はできず、外国人は50年の利用権(リースホールド)のみが認められています。
ベトナムは成長過程にあり、高い利回り(6~8%ほど)が期待できますが、インフラ整備が進む地域かどうかをしっかり見極める必要があります。
フィリピン
フィリピンは人口が1億人以上で若い労働力も多く、高い経済成長率を保っていることから、投資先として魅力的な国といえます。
また、外資系企業が多く進出しているため、都市部での住宅ニーズが高く、高い利回りが期待できます。
特に、マニラやセブなどの都市部では不動産価格の上昇により、大きな売却益(キャピタルゲイン)も期待できる状況です。
外国人はマンションやコンドミニアムの購入が可能ですが、土地の保有は不可となっています。
賃貸利回りは6%~10%と高めですが、物件を選ぶ際はインフラ整備の進捗状況などをしっかり確認することが大切です。
カンボジア
カンボジアはASEANの中でも経済成長率が高く、経済発展に伴い外国人からの投資も盛んに行われています。
また、不動産取引が米ドル建てで行われることから、為替リスクが比較的低いことも魅力です。
外国人はコンドミニアムの購入が可能で、賃貸利回りは6%~8%となっています。ただし、土地の保有には制限があるため、都市に投資する際は注意が必要です。
マレーシアやベトナム、フィリピンと比較すると、カンボジアは新興市場と言えます。
そのため、信頼できる開発業者を選び、法律をしっかり理解して投資することが重要です。
アメリカ
アメリカは経済規模が大きく、新築市場・中古市場ともに不動産市場が大きいことが特徴です。
都市別では、ニューヨークやロサンゼルス、シカゴなどの都市部で日本人による不動産投資が活発となっています。ただし、近年は大きく円安が進んだため、投資に慎重になる投資家も増えています。
海外不動産投資の始め方
海外不動産投資を始める方法としては、「現地の不動産会社で購入する方法」と「海外に拠点を持つ日本の不動産会社から購入する方法」の2通りがあります。
それぞれの購入方法の特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
現地の不動産会社で購入する
海外不動産を購入する最もシンプルな方法は、現地の不動産会社を通じて物件を購入することです。
現地の不動産会社を利用するメリットやデメリットは以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
現地の物件についてタイムリーな情報を得られる |
言語や文化の違いから意思疎通しにくい |
多くの物件を内覧して決められる |
信頼できる不動産会社を見つけることが難しい |
現地独自の法規制や税制などについて専門的なサポートを受けられる |
法律や契約に関する知識が不足していると不利な条件で購入してしまうリスクがある |
現地の言葉で十分にコミュニケーションが取れて、現地の事情にも詳しい人であれば、現地の不動産会社で購入するのもひとつの方法です。
海外に拠点を持つ不動産会社から購入する
海外不動産をはじめて購入する場合や、実際に現地に行くことが難しい場合は、海外に拠点を持つ不動産会社を利用するのも良い選択です。
海外に拠点がある不動産会社を利用するメリットやデメリットは以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
日本語や多国言語に対応していることが多い |
現地の物件を詳細に確認しづらいことがある |
現地の法律や税制の知識を持ち、投資家サポートに特化している |
手数料が高いことがある |
日本国内で手続きを進められる |
|
海外不動産投資が初めての人や、現地に行く時間が取れない人は、海外に拠点を持つ日本の不動産会社を利用すると良いでしょう。
海外不動産投資でローンを組む方法
海外不動産を取得する場合、以下の3つの方法があります。
- 国内の金融機関で海外不動産投資ローンを組む
- 国内の金融機関でフリーローンを組む
- 海外の金融機関でローンを組む
国内の金融機関で海外不動産投資ローンを利用する場合
海外不動産を取得する場合、金融機関を利用してローンを組む方法がありますが、海外不動産投資に対応している金融機関は限られています。
海外不動産投資に対応している主な金融機関は、以下のとおりです。
金融機関名 |
融資内容 |
オリックス銀行 |
国内不動産を担保に、海外不動産投資向けの融資を提供。 |
東京スター銀行 |
ハワイの不動産購入を対象としたローンを提供。 |
SBJ銀行 |
購入不動産を担保に入れられる。 |
日本政策金融公庫 |
不動産賃貸業の拡大資金として申し込む必要があり、難易度が高い。 |
ベトナムやマレーシアなど、ハワイ・ホノルル以外の不動産に投資したい場合は、オリックス銀行に申し込む必要があります。
ただし、どの金融機関でもローン審査は非常に厳しく、融資を受けられないケースも多くなっています。
また、融資を受けられた場合も、金利が高かったり返済期間が短かったりして、条件が悪い場合があるため注意が必要です。
このように海外不動産に投資する場合はローンを組みにくいことから、多額のキャッシュが必要と考えられています。
国内の金融機関でフリーローンを利用する場合
フリーローンは、資金使途が自由な代わりに、金利が比較的高いローンです。
幅広い目的に利用できますが、事業性資金や投資資金として借りることは不可というケースが多くなっています。
国内の金融機関では、海外不動産の取得を「事業」や「投資」と判断されるケースがあるため、フリーローンを利用できないケースも多くなっています。
また、借りられたとしても、目的別ローンと比較して金利が高いことが多いため、投資コストが高くなるというデメリットがあります。
基本的に、不動産投資のためにフリーローンを借りることは難しいと考えておきましょう。
海外の金融機関を利用してローンを組む場合
海外の金融機関を利用してローンを組めるケースもありますが、言語や法律の違いなどから、難易度がかなり高いといえます。
また、多くの国では外国人投資家の融資に制限があったり、通常より高い頭金を要求されたりする場合もあるため、投資コストが高くなってしまう可能性もあります。
海外の金融機関でローンを借りるハードルは高く、コストも大きくなる可能性があるため、国内金融機関で融資を受けるか、自己資金を用意するかの2通りで検討すると良いでしょう。
海外不動産投資における物件の選び方
海外不動産投資で成功するためには、物件そのものの魅力だけでなく、物件がある地域や周りの環境などの将来性も重要です。
ここでは、海外不動産投資における物件の選び方について、ポイントを2つ紹介します。
空室リスクが少ない地域を選ぶ
不動産投資では、空室が続くと本来得られるはずの賃貸収入がゼロになってしまうため、空室リスクを避けることが重要です。
賃貸需要が安定している地域の特徴は、以下のとおりです。
- 人口密度が多い都市部や移住者が多いエリア
- 観光客や駐在員向けの需要が高いエリア
- 大学や教育施設の近隣エリア
- 鉄道やバスなどのインフラが整っているエリア
投資先を決める際は、現地の情報を把握したうえで、空室リスクが少ない地域の物件を選ぶようにしましょう。
賃料が下落しづらい地域を選ぶ
賃料が下落しづらい知識の物件を選ぶことも、不動産投資を成功させるためのポイントのひとつです。
賃料が安定している地域の特徴は、以下のとおりです。
- 経済成長が安定している
- 高所得者が集まっており家賃水準が高い
- 新規物件の供給が過剰になっていない
- 将来的なインフラ整備や再開発が進行中である
経済情勢や市場動向に左右されにくい物件に投資することで、長期的に安定した収益が見込めます。
現地の地域特性や市場動向をしっかりと調べ、安定した収益を得られるような物件に投資するようにしましょう。
海外不動産投資で成功するためのポイント
海外不動産投資で成功するためには、リスクを把握したうえで、慎重に計画を立てて進めていくことが大切です。
ここでは、海外不動産投資で成功するためのポイントについて解説します。
投資環境や政治情勢をリサーチする
海外不動産に投資する際は、投資環境や政治情勢について情報収集をすることが大切です。
特に新興国では、政治が不安定になることによって不動産価格が下がる場合があります。
また、急に制度が変更されて土地所有権に制限が加えられたり、外国人投資家への課税が引き上げられたりするリスクもあるため、注意が必要です。
投資する国を選ぶ際は、人口増加率やGDPの成長率、国の格付けなどに加えて、政治が安定しているかどうかもしっかり確認するようにしましょう。
信頼できる不動産会社や管理会社を探す
海外不動産投資を成功させるためには、しっかりした物件管理が不可欠です。
そのためには、現地の文化や法律に精通している、信頼できる現地の不動産管理会社を見つけることが重要です。
現地の管理会社を見つける手順は以下のとおりです。
- 他の投資家や現地のネットワークを使って管理会社の現地の評判を調査する
- 管理会社が提供するサービスを確認する
- 管理費や追加料金などの費用内容を把握する
- 可能であれば現地を訪問し、管理会社のオフィスや担当者を確認する
- 過去の実績や管理物件の種類、エリアでの経験を確認する
- 管理契約書の内容をくわしく確認し、契約を結ぶ
信頼できる不動産会社や管理会社を探すことは簡単ではありません。現地の法律事務所などに協力を依頼するなどして、時間をかけて探すようにしましょう。
契約内容を正確に把握する
海外不動産を取得する際は、不利な条件で契約しないよう、契約内容を正確に把握することが大切です。
海外の言葉で書かれた契約書は専門用語が多く、内容を正確に理解することは難しいといえます。
また、海外では不動産取引の法令や慣例も日本とは異なるため、通訳や現地の専門家にサポートしてもらいながら進めるようにしましょう。
海外不動産投資に向いている人は?
海外不動産投資は、日本の不動産投資と異なるリスクやデメリットがあるため、誰にでもおすすめできるというわけではなく、向き不向きがあります。
無理をして不動産投資を始めると、大きな損失を出す可能性があるため注意が必要です。
ここでは、海外不動産投資が向いている人の特徴を紹介しますので参考にしてください。
海外不動産をキャッシュで一括購入できる人
海外不動産に投資する際は、金融機関でローンを組むことが難しいため、ほぼ自己資金で購入する必要があります。
まとまった資金を保有していて、全額自己資金もしくは少額の融資で不動産を購入できる人であれば、海外不動産投資を検討しても良いでしょう。
ただし、海外不動産には「売りたいときに売れないリスク」や「物件が完成しないリスク」など、様々なリスクがあります。
自己資金で海外不動産を一括購入する場合は、初期投資を回収するまでに時間がかかる可能性があることを覚えておきましょう。
海外に移住したい人
海外への移住を検討している人にとって、海外不動産を取得することは単なる投資ではなく、安心して過ごせる住居を確保するという意味もあります。
また、一部の国では不動産を一定額以上購入することで、長期滞在ビザや永住権を取得できる制度があります。
移住者・長期滞在者向けの制度は以下のとおりです。
国名 |
条件等 |
ポルトガル「ゴールデンビザ」 |
50万ユーロ以上の物件購入で居住権を得られる。 |
グレナダ「市民権取得プログラム」 |
政府指定の不動産プロジェクトに最低22万ドル以上の投資をすることで市民権を得られる。その結果、アメリカの起業ビザを申請できる。 |
フィリピン「特別退職者ビザ」 |
フィリピンの銀行に一定以上の預金を行うこと(預金は不動産購入に充当可能)で、永住権に近い権利が付与される。 |
ベトナム「投資家ビザ」
|
不動産プロジェクトや事業に一定額以上を投資することで居住許可証を取得できる。 |
マレーシア「マレーシア・マイ・セカンドホーム」 |
一定額以上(約1,050~1,500万円)の預金(一部資金を不動産購入に利用可能)で、10年間の長期滞在ビザを取得できる。 |
このように、海外不動産投資を通じたビザや居住権の取得は、移住や資産形成の手段として非常に有効といえます。
ただし、それぞれの国で要件が異なったり、制度の条件が頻繁に変わったりすることもあります。
移住のための海外不動産を取得したい場合は、信頼できる専門家や不動産業者のサポートを受けながら進めるようにしましょう。
海外に在住している人
すでに海外に在住している人も、不動産投資に向いています。その理由としては、以下があります。
- 現地に住んでいるため、管理会社とのやり取りがスムーズにできる
- 現地の不動産市場の動向や地域の特性をリアルタイムで把握できる
- 正確な情報にアクセスしやすい
- 現地の文化やライフスタイルを理解しているため、需要の高いエリアや物件タイプを選定しやすい
- 現地のネットワークを活用することで、割安物件やオフマーケットの物件にアクセスできる
- 現地通貨で受け取った収益を、そのまま生活費に充てられる
海外に在住している人は、現地の言葉でやり取りできること、管理会社とも密接に連絡を取れるため物件管理がスムーズにできることなどから、海外不動産投資に向いているといえます。
まとめ
海外不動産投資は、キャピタルゲインを得たい人や、資産分散をしたい人にとって魅力的な選択肢の一つです。ただし、リスクやデメリットも多いため、自分に合った投資法かどうかを見極める必要があります。
海外不動産投資を始める場合は、現地の市場動向や法制度などをしっかりと調査し、信頼できる不動産会社や管理会社を選ぶことが大切です。
この記事で紹介したポイントを参考に、目的に合った戦略を立てて、自分自身の条件に最適な不動産を選ぶようにしましょう。
伊藤久実
伊藤FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)兼ライター。大学卒業後、証券会社・保険コンサルタントを経て事務所代表兼フリーライターとして活動を始める。家計の見直しから税金・保険・資産運用まで、人生の役に立つ記事を幅広く執筆している。