株式投資と投資信託の違いを徹底比較!初心者はどちらを選ぶべき?
これから資産運用を始めようと思っている人にとって、「株式投資」と「投資信託」は何が違うのか疑問に思うのではないでしょうか。違いがわからないので、どちらを選べばいいのか悩んでしまうかもしれません。そこでこの記事では、株式投資と投資信託の基本的な概要から、両者の種類や違いなどをご紹介していきます。投資信託の情報でよく見かける「ETF」とは何なのかも理解できるので、ぜひ参考にしてみてください。
・目次
株式投資と投資信託の基本的な仕組み
株式投資と投資信託は、どちらもメジャーな資産運用のひとつです。どちらも聞いたことはあるという人がほとんどでしょう。しかしあまり投資に詳しくない場合は、何がどう違うのかよくわからない人も少なくありません。そこでまずは違いを知る前に、そもそも株式投資と投資信託とは何なのか、概要をご説明していきます。
株式投資とは|個別の会社を応援
株式投資とは、企業の株を購入してその会社を応援することです。たとえば、業績が上がりそうな企業や好きなブランドの企業の株に投資し、その企業が成長した場合、利益を得られる可能性があります。
そもそも株式とは何かというと、企業が資金を集める際に発行する証明書だと考えるとわかりやすいでしょう。株主は、株式を購入して資本を提供する代わりに、会社の所有権を持ちます。企業は投資してもらったお金をもとに事業を拡大させ、利益を追求するというわけです。
株主になると、以下の利益を得られます。
●会社のオーナーの1人になる
株式を持っているということは、その会社のオーナーであるということです。経営方針を決定する株主総会に出席することもできます。
●配当金
配当金とは、企業が得た利益を株主に還元するお金のことです。このように、保有しているだけで得られる利益をインカムゲインと呼びます。配当金は必ず得られるものではなく、無配当の場合もあります。
●株主優待
株主優待の内容は、その会社の製品をもらえたり優待価格で購入できたりとさまざまです。株主優待制度がない場合もあるので、ここもチェックしておきましょう。
※株主優待は日本独自の制度なので、海外株式にはないことがほとんどです。
●譲渡益(売却益)
保有している株式は、自由に売ることができます。購入したときよりも高値で売却できれば、それが利益となります。株式投資で得られる主な利益は、この譲渡益(キャピタルゲイン)です。
このように株式投資とは、特定の企業のオーナーとなり、経営を応援するということです。経営がうまくいけば、配当金を得られる可能性がありますし、株式の価値が上がるため譲渡益も見込めます。
しかし経営が立ち行かなくなった場合は、株式の価値が下がって損失を被る可能性もあるので、注意しましょう。
投資信託とは|運用はプロにお任せ
一方投資信託とは、プロが厳選した株式や債券の詰め合わせを購入するイメージです。複数の投資家から集めたお金で、プロが選んだ複数の投資先に投資します。
ひとつの銘柄に投資する株式投資と違い、投資信託は複数の投資先に分散投資できます。投資先をひとつに絞ると、その価値が下がった場合リカバリーするのが大変です。投資信託のように、複数の銘柄を少しずつ保有していると、ひとつが下がってもほかのものでカバーできるため、リスクが低くなります。
複数の投資家から集めたお金で運用するので、一人当たりの出資金は少額でも問題ありません。運用もプロに任せられるのが特徴です。投資信託にはたくさんの種類があるので、何に投資しているか投資信託の中身をチェックして選びましょう。
投資信託で得られる利益は以下の通りです。
●分配金
運用で得た利益を投資家に還元するお金で、インカムゲインに該当する利益です。ただし配当金とは違い、利益からだけでなく資産の一部を分配金に充てることもあります。
資産を減らさずに運用していくためには、分配を行わずに利益を再投資する「再投資型」を選ぶとよいでしょう。再投資型は、長期の積み立てに適した方法です。分配金がないことは、必ずしもデメリットではありません。
●譲渡益(売却益)
保有している投資信託を売却して利益を得ることもできます。ただし、購入したときよりも価値が下がっている場合は損失になるので、注意しましょう。
投資信託は少額から購入でき、分散投資をすることでリスクも抑えられますが、元本が保証されているわけではありません。
株式投資にはどんな種類がある?
株式投資は、個別銘柄(株式)を選ばなければなりませんが、多くの種類があり迷われることも多いでしょう。そこでまずは国内株式と海外株式の特徴、今さら聞けない債券との違いをご紹介していきます。
国内株式
国内株式とは、日本国内の企業の株式を指します。馴染みのある有名企業も多く、株価や経営状況などの情報を得やすいです。
株式投資は企業のオーナーとなり、応援する意味合いもあるので、身近な商品を取り扱っている企業には親近感がわきますね。株主優待がある場合は、利用しやすいこともメリットです。
米国株やインド株などの海外株式
海外株式は、その名の通り海外企業の株式です。最も代表的な海外株式は米国株でしょう。AppleやGoogle、Amazonなど日本でもお馴染みの米国企業の株は、日本の証券会社でも日本語で購入できます。
すべての証券会社ではありませんが、大手の証券会社やネット証券では取り扱っていることが多いです。そのほか中国株や韓国株、タイ株といった海外株式を購入することもできます。どの銘柄を扱っているかは証券会社によって異なるので、事前にチェックしましょう。
また、インド株や欧州株など直接株式を購入できないものもあります。その場合は、希望する海外株式が組み込まれている投資信託やETFなどに投資をするとよいでしょう。
債券との違いについて
債券は、国や地方公共団体、企業がお金を調達するために発行する有価証券です。これだけだと株式と同じように感じますが、債券は株式ではありません。
債券は、お金を直接貸すという意味合いが強いです。そのため、債券を購入する(=国や企業にお金を貸す)と、決められた条件で一定の利子が支払われます。またあらかじめ決められた満期日があり、満期日になると元本(または約束していた金額)が戻ってきます。
国や企業が破綻すると元本が戻ってこない可能性もありますが、株式よりはリスクが低いといえるでしょう。ただし株式ほどのリターンを見込めないことが多いです。
債券にも、国債(国の債権)や地方債(地方自治体の債権)、社債(企業の債券)、外債(外国の債券)などの種類があります。
投資信託にもさまざまな選択肢が
投資信託にも多くの種類があり、その数は数千種類にも上ります。プロが選んでいるとはいえ、多くの株式や債券などの組み合わせですから、選ぶのが難しいと感じることもあるでしょう。しかし多くの投資信託は、特徴によってある程度カテゴライズできるため、代表的なものをご紹介していきます。
ETFは投資信託のひとつ
ETFとは、上場している投資信託のことです。一般的な投資信託とは違い、証券取引所に上場しているため、株式と同じようにリアルタイムで売買できます。
通常の投資信託は、1日に1回算出される基準価格で取引され、取引できる時間は各証券会社(販売会社)が定めています。一方ETFの購入は、証券取引所が開いている時間に限られ、価格は相場を踏まえた購入時のものが反映されます。
株式のように購入のタイミングで価格が異なるため、ある程度相場を読める場合は、通常の投資信託よりも有利に売買できる可能性があります。1口あたりの価格次第では、少額から購入が可能です。またETFの方が、通常の投資信託よりも信託報酬が低い傾向にあります。
株式型 or 債券型 or バランス型
投資信託はファンドとも呼ばれており、その中身(投資先)によってカテゴリー分けすることができます。
●株式型ファンド
主に株式を組み込んでいるファンドです。株式は比較的価格の変動が大きいので、大きくリターンを得られることもあれば、損失が大きくなることもあります。国内株、米国株、新興国株といった、株式の種類によっても運用成績が大きく異なります。
●債券型ファンド
国債や社債などを組み込んでいるファンドです。株式よりも値動きが少ないため、大きなリターンを期待できない代わりにリスクも抑えられます。安全に運用したい場合におすすめです。国内債券を組み込む国内型と、海外債券の海外型があります。
●バランス型ファンド
株式や債券など複数の資産を、バランスよく組み込んでいるファンドです。それぞれのメリットを享受しつつ、できるだけリスクを抑えられるよう配分しています。
インデックス or アクティブ
投資の種類ではなく、値動きをもとにカテゴライズする方法もあります。
●インデックスファンド
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった株価指標(ベンチマーク)と連動する動きを目指すのが、インデックスファンドです。株式市場全体に投資しているようなものなので、市場と同等の運用成績を見込めます。
比較的手数料も安く、長期保有にも向いていますが、大きなリターンを得るのは難しいといわれています。
●アクティブファンド
ベンチマーク以上の成績を目指して、投資先を配分しているファンドです。ファンドマネージャーと呼ばれるプロが、今後伸びるであろう企業や市場を調査・分析して資産を選んでいます。
調査や分析にコストがかかるため手数料が高い傾向にあり、リスクも大きくなりますが、その分大きなリターンを期待できるでしょう。
投資信託には、それぞれ特徴があります。あなたの希望や資産状況に合うのはどのタイプか、上記を参考に選んでみてください。資産に余裕がある場合は、複数のファンドを保有すると、リスクを分散できます。
株式投資と投資信託の違いを表で比較!
株式投資と投資信託の基本的な仕組みを理解したところで、次は違いに焦点を当ててご説明していきます。
<株式投資と投資信託の違い>
株式投資 |
投資信託 |
|
運用する人 |
自分自身 |
運用会社(プロの投資家) |
リスクとリターン |
ハイリスク |
ローリスク ※種類による |
手数料(コスト) |
売買手数料等 |
取引手数料・信託報酬など |
利益・優待 |
配当金、株主優待 |
分配金 |
NISA・iDeCoの利用 |
NISA |
NISA ・成長投資枠 ・つみたて投資枠 iDeCo |
購入できる場所 |
証券会社 |
証券会社、銀行など |
最低投資額 |
数千円~数万円 |
100円~ |
運用する人
リスクとリターン
株式は、企業の業績によって株価が大きく変動します。業績が良ければハイリターンを見込めますが、業績が悪化した場合は損失のリスクも高いです。
投資信託の場合は、複数の投資先に分散して投資しているので、リスクも分散されています。その分、リターンは基本的に株式投資より少ないことが多いです。ただし新興国株ファンドのように、選ぶ投資信託によっては株式と同程度のリスクやリターンがあります。
手数料
株式の場合、主なコストは売買するときの手数料です。投資信託の場合は、購入するときの手数料に加え、運用をお任せするコスト(信託報酬)などが発生します。
株式には信託報酬は発生しませんが、それぞれの銘柄やファンドによって手数料は異なるので、一概にどちらが安いとも言えません。事前にしっかりチェックしましょう。
利益・優待
株式のインカムゲインは配当金、投資信託の場合は分配金です。どちらも必ずしも発生するわけではありません。株式投資、投資信託ともに、購入したときよりも売却したときの価格が高ければ、差額が譲渡益(キャピタルゲイン)になります。安く買って高く売る、が基本です。
そのほか、株式の場合は株主優待が付く場合もあります。好きな商品やサービスを扱う企業の株式を保有していると、その企業を応援できるだけでなく優待を受けられる場合もあるので、お得な気分になるかもしれません。
NISA・iDeCoの利用
NISAとiDeCoはどちらも、投資運用で得た利益が非課税になる制度です。投資運用で得た利益(配当金や売却益など)には、基本的に20.315%の税が発生します。しかし、NISAやiDeCoの口座で運用した場合、その税金が発生しないため、投資で得た利益はすべて手元に残ります。
NISA口座には、成長投資枠とつみたて投資枠があり、投資信託はどちらも利用できます。個別銘柄の株式は成長投資枠でのみ購入できますが、すべての株式や投資信託が対象ではないので注意しましょう。
iDeCo口座では、基本的に投資信託のみ購入できます。株式そのものは購入できませんが、株式を組み込んだ投資信託やETFを選ぶことはできます。ただしこちらも、すべての投資信託が対象ではありません。
購入できる場所
投資信託は証券会社や銀行で購入できますが、株式は証券会社でのみ購入できます。投資信託の中でもETFは証券会社でしか購入できないので、覚えておきましょう。
証券会社には、店舗を構える総合証券会社のほかネット証券会社もあり、初心者でも気軽に利用できます。証券会社によって取り扱っている銘柄が異なるので、購入したいものが決まっている場合は、取扱いがあるか事前に確認してくださいね。
最低投資額
通常、株式は100株単位で取引します。最低投資額は、1株あたりの価格で大きく異なります。
- 1株50円の場合 → 5,000円(50円×100)
- 1株500円の場合 → 50,000円(500円×100)
ただし、100株未満でも購入できる「単元未満株」であれば1株から購入できます。その場合、数百円程度で投資が可能です。投資信託の場合は、100円程度から積み立てできます。
株式投資と投資信託、どちらを選ぶ?
株式投資と投資信託のどちらを選ぶべきかは、資産状況やどのような運用をしたいかによります。ご自身はどちらに向いているか、下記を参考に検討してみてください。
株式投資に向いている人
- 多少のリスクがあっても、リターンを重視したい
- 応援したい企業がある
- 株主優待が欲しい
- 運用資金に余裕がある
- 自分で銘柄を選びたい
- 市場分析が得意
株式投資に向いている人は、自分で運用できる知識がある人です。市場を分析して銘柄を選び、購入のタイミングもある程度判断できる場合は、株式投資に向いているでしょう。多少のリスクは覚悟で、大きなリターンを得たい場合も、株式投資がおすすめです。
株主優待が欲しい、応援したい企業があるという人にも向いています。ただし、投資にはリスクが付きものなので、損失を被る可能性もあります。企業の経営状況等をよく理解して、投資しましょう。
投資信託に向いている人
- 長期的な資産運用を考えている
- できるだけリスクを抑えたい
- 少額から始めたい
- 自分で銘柄を選ぶのが難しい
- できるだけ手間をかけたくない
- 投資初心者
投資信託は、運用をプロにお任せできます。投資初心者や自分で銘柄を選ぶのが難しい人、あまり手間をかけたくない人に向いているでしょう。
株式投資よりも比較的リスクが少ないため、安全に運用したい、長期的に運用したいといった場合にもおすすめです。少額から積み立てられるのもいいですね。
ただし、投資信託も元本が保証されているわけではありません。プロが選んでいるからと過信せず、どのような特徴を持ったファンドなのか、投資先はどこかなどは必ず確認しましょう。
まとめ
株式投資は自分で個別の銘柄を選んで運用するのに対し、投資信託はプロが選んだ投資先に資産を分散して運用する方法です。株式投資、投資信託ともにさまざまな種類があり、特徴はそれぞれ異なります。
基本的に、自分で積極的に運用したい人や運用に慣れてきた人は株式投資が向いています。自分で判断が難しい人やできるだけプロにお任せしたい人は投資信託が向いているでしょう。ただし、選ぶものによってリスクやリターンの程度は異なりますし、損失を被る可能性も否定できません。投資をする場合は、必ず内容をよく確認してから行動してくださいね。