不動産投資のメリット9選!注意すべきデメリットや成功のコツを徹底解説
不動産投資は、長期にわたって安定した収益が見込める投資法のひとつです。不動産投資にはさまざまなメリットがあることから近年人気が高まり、多くの人が注目しています。
その一方で、空室リスクや初期費用の高さなどデメリットもあるため、「ハードルが高い」「なんとなく不安がある」と一歩を踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産投資を検討している初心者向けに、メリットとデメリットを徹底的に解説します。また、不動産投資を成功させるための具体的なコツや注意点についてもくわしく紹介します。
不動産投資に興味がある人も、実際に始めてみたいという人も、不動産投資を始める一歩を踏み出すために、ぜひこの記事を参考にしてください。
・目次
不動産投資とは?
不動産投資とは、マンションやアパートなどの不動産を購入し、物件を貸し出して入居者から家賃収入を得る投資法です。
また、購入した不動産価格が上がったときに不動産そのものを売却することで、売買益を得ることもできます。
不動産投資には、以下のような種類があります。
- 区分マンション
- アパート
- マンションやアパートの一棟投資
- 戸建て
区分マンション
区分マンションとは、「マンションの一部屋」という意味です。
投資対象としては、一棟投資に比べて価格が低く、維持管理の負担が少ないことが特徴です。
一方で、他の住戸と共有する部分(共用部分)の管理費や修繕積立金がかかるため、収益計算の際にはこれらのコストも考慮する必要があります。
アパート
アパートは価格が抑えられているケースが多いため、少ない資金で始められることが特徴です。
ただし、高収益を得るためには物件の立地や管理方法などを十分に考慮する必要があります。
マンションやアパートの一棟投資
マンションやアパートの一棟投資は、複数の部屋を賃貸できるため、空室リスクを分散しやすく、家賃収入が安定するという特徴があります。
ただし、初期投資額が大きく、維持管理費用も高額になるため、しっかりとした資金計画を作成して進める必要があります。
戸建て投資
戸建て投資は、初期投資額が比較的低い場合が多く、ファミリー層などに需要があるため、長期的な賃貸契約が期待できます。
一方で、修繕費用はすべて自己負担する必要があるため、リスク管理をしっかりと行う必要があります。
不動産投資のメリット9選
不動産投資のメリットは、おおまかに分けて以下のように9種類あります。
- 安定した収入(インカムゲイン)が得られる
- 生命保険・死亡保険として活用できる
- インフレのリスクヘッジができる
- 年金がわりになる
- 所得税・住民税を減らせる
- 相続税を抑えられる
- レバレッジ効果がある
- 資金計画を立てやすい
- 少ない自己資金で始められる
それでは、不動産投資のメリットを詳しくみていきましょう。
不動産投資のメリット①長期間安定した家賃収入が得られる
不動産投資の最も大きなメリットは、不動産を保有している限り、長期にわたって安定した家賃収入を得られることです。
不動産投資では、マンションやアパートなどの不動産を保有することで、自動的・継続的に「家賃収入」を得られることが大きなメリットとなっています。
また、不動産投資では、株式のように日々の価格をチェックし、タイミングを見て売買する必要もないため、手間がかからずに資産運用できるというメリットもあります。
不動産投資の収益は「不動産所得」になります。
不動産投資のメリット②生命保険・死亡保険として活用できる
不動産を購入する際は、金融機関でローンを組み、「団体信用生命保険(通称:団信)」に加入するケースがほとんどです。
団体信用生命保険とは、「ローン契約者が亡くなった場合、もしくは高度障害状態になった場合に、金融機関が残ったローン残債を支払ってくれる」という保険です。
団体信用生命保険に加入していて契約者が亡くなった場合は、遺族は無借金の不動産と、毎月の家賃収入が残ります。
契約者に万が一のことがあった際は、現金よりも価値が高い「毎月安定した収益を得られる不動産」を残せることが、大きなメリットとなっています。
不動産投資のメリット③インフレのリスクヘッジができる
不動産を保有していると、インフレ時の資産の目減りを回避できます。
インフレとは、モノの価格が上昇し、相対的にお金の価値が下がることをいいます。
例えば、現金100万円を持っているとします。このお金は、現時点では100万円の価値があり、100万円分のモノを買うことができます。
しかし、次の年のインフレ率が5%で、モノの価格が5%上がってしまうと、100万円で去年と同じ分の買い物をすることができません。つまり、資産の価値(お金の価値)が下がったことになります。
現金の価値はインフレが進行してもそのままですが、不動産の価値は、物価の上昇とともに価格が上がる傾向があるため、資産価値が目減りしないというメリットがあります。
現在の日本は、長期にわたったデフレから脱却し、ゆるやかなインフレ時期に入りつつあります。現金で資産を保有していた場合、今後インフレが進行した際には資産が目減りしてしまいますが、不動産を保有することで、資産の目減りを減らすことが可能です。
不動産投資のメリット④年金がわりになる
不動産は、毎月安定した賃料収入が見込めることから、年金の不足分を補う「私的年金」として活用できるというメリットがあります。
近年は、年金だけでは生活できないという「老後2,000万円問題」が注目されています。
「総務省統計局の家計調査(2023年)」によると、二人以上世帯で、65歳以上・無職の二人以上世帯の生活費の毎月の赤字は、約3万8,000円です。
老後に毎月安定した収入が得られる不動産を保有しておけば、家賃収入を収入に上乗せできるため、毎月の赤字を解消でき、安定した老後生活を送れる可能性が高くなります。
ただし、ローン返済中に入居者が退去すると、自分の老後資金を取り崩して返済する必要が出てきます。また、物件の修繕で予想以上に費用がかかることもあります。
不動産投資は、老後の年金がわりになるというメリットがありますが、リスクもあります。できれば年金受給開始までに、ローン返済を終わらせておくようにしましょう。
不動産投資のメリット⑤所得税・住民税を減らせる
不動産投資の収益がマイナスになった場合、給与所得など、他の所得の黒字部分を相殺する「損益通算」が適用できます。
損益通算すると、給与所得など他の所得の黒字分を減らすことができます。その結果所得税や住民税も少なくできるというメリットがあります。
特に、不動産投資を始める初年度は経費がかかり、収益がマイナスになる可能性が高いため、結果として所得税・住民税を減らせる可能性が高くなります。
不動産投資のメリット⑥相続税を抑えられる
不動産は、現金や預貯金よりも相続税評価額が低くなるため、現金を不動産にしておくことで、相続税を少なくすることが可能です。
例えば、土地の相続評価額は、実勢価格の約80%程度、建物は実勢価格の約70%程度になります。
また、賃貸用の不動産は、「自分で自由に処分できない土地(貸家建付地)や建物(賃貸用建物)」と評価されるため、通常の土地や建物よりも、より評価額が下がるというメリットがあります。
現金よりも不動産、不動産よりも賃貸用不動産のほうが、相続税をより安くできると覚えておきましょう。
不動産投資のメリット⑦レバレッジ効果がある
不動産投資のレバレッジ効果とは、「少ない自己資金をもとに借入をし、高額な不動産を取得して、それに見合った賃料収入を得る」ことを意味します。
例えば、株式投資では、投資のための借り入れができないため、自己資金のみで投資を行う必要があります。自己資金が300万円であれば、300万円そのままの額で株式等を購入して運用します。
それに対して不動産投資では、自己資金があれば、金融機関から借り入れて、高額な物件を取得して運用できるというメリットがあります。
例えば、「300万円の自己資金をもとに不動産投資ローンで借入を行い、5,000万円の不動産を取得・運用して家賃収入を得る」ということが可能です。
金融機関のローン審査に通ることが前提ではありますが、少額の自己資金で不動産を取得し、運用できることが不動産投資のメリットといえます。
不動産投資のメリット⑧資金計画を立てやすい
不動産投資は、収益やコストを想定しやすいため、投資の資金計画を立てやすいというメリットがあります。
不動産投資の収益やコストは以下のようなものがあり、事前にある程度収支を想定できます。
- 毎月の賃料収入
- ローン返済額
- 建物の管理費
- 固定資産税
- 火災保険料
- 退去発生後のリフォーム費用
- 入居者集めの広告費
不動産投資では、「空室になる」「設備が故障する」等、イレギュラーなことが起こるリスクもありますが、資金計画に基づいた堅実な運用ができることがメリットといえます。
不動産投資のメリット⑨少ない自己資金で始められる
不動産投資では、物件価格の1~3割の自己資金があれば、金融機関で借入をして不動産投資をすることが可能です。
ただし、金融機関の融資審査に通る必要があり、審査項目はさまざまです。
金融機関のローン審査項目としては、年収や勤務先、勤続年数、資産状況、アパート経営の実績などがあります。また、物件の収益性も評価されます。
そのため、審査状況によっては、1割の自己資金で問題ないケースもあれば、3割保有していても審査落ちしてしまうこともあります。
物件の耐用年数(木造22年・重量鉄骨34年・RC構造が47年)を超えると、物件の担保価値が下がり審査落ちする可能性が出てきますので、物件選びは慎重に行うようにしましょう。
不動産投資のデメリット9選と対策法
不動産投資では、メリットだけでなくデメリットやリスクもあるため、よく理解しておくことが大切です。
ここでは、9つのデメリットやリスクとその対策法について、それぞれ紹介します。
不動産投資のデメリット①自己資金や初期費用がかかる
不動産投資を始める場合は、以下のような自己資金や初期費用が必要です。
- 借入をする際の頭金(物件価格の10~20%程度)
- 融資手数料や保証料など、ローン関連費用
- 購入時に不動産会社に支払う仲介手数料
- 登記費用
- 印紙税
- 不動産取得税
- 火災保険・地震保険料
自己資金は物件価格の7~10%が初期費用の目安とされています。
不動産投資は融資を利用することによって、少ない資金で不動産を購入・運用できるメリットがありますが、ある程度の自己資金が必要になることを覚えておきましょう。
不動産投資のデメリット②ランニングコストがかかる
不動産投資は、不動産を長期にわたって保有するため、運用中にさまざまなコストが発生します。
主なランニングコストは、以下のとおりです。
コストの種類 |
内容 |
固定資産税・都市計画税 |
毎年納める税金。 |
管理費 |
マンションの共用部分の維持・管理にかかる費用。 |
修繕積立金 |
将来の大規模修繕のために積み立てる費用。 |
不動産管理会社への委託料 |
賃貸物件の管理を不動産管理会社に委託する場合にかかる費用。目安は毎月の家賃収入の5~10%程度。 |
火災保険料・地震保険料 |
災害に備えてかける保険料。毎年もしくは数年分まとめて支払う。 |
不動産投資をする際は、収益だけでなく継続的にかかるコストもしっかり把握して、収支を考えることが大切です。
不動産投資のデメリット③空室時には家賃収入が入らない
不動産投資では、空室で家賃収入が得られない間も、建物の維持管理費やローン返済は止まりません。そのため、空室期間が長引くと、大きな負債を抱えてしまうこともあります。
空室リスクをできるだけ避けるためにも、立地が良い物件を選ぶようにしましょう。
空室リスクを回避するために、業者に部屋を借り上げてもらう「サブリース契約」を結ぶという方法もあります。
ただし、サブリース契約を結ぶと収益性が低下したり、トラブルが発生したりする可能性もあるため、慎重に検討するようにしましょう。
不動産投資のデメリット④家賃を滞納されるリスクがある
不動産投資では、入居者がいて空室ではないものの、家賃を滞納されてしまうというリスクもあります。
単純な支払い忘れであれば問題ありませんが、入居者の経済的な問題の場合は、入居者と対話して家賃を納めてもらうなど、複雑な対応が必要になります。
入居者は借地借家法で保護されており、立ち退き要請をするには、一般的には3か月以上の滞納実績が必要です。
また、強制的に退去させる場合は、弁護士費用なども発生します。
このような家賃滞納リスクを防ぐには、以下のような対策法があります。
- 入居審査をしっかりする不動産管理会社を選ぶ
- 入居者に連帯保証人をつけてもらう
- 入居者に家賃保証会社に加入してもらう
- 家賃の回収方法をクレジットカードや口座からの自動引き落としにする
入居者がいない「空室リスク」よりも、家賃を滞納されてしまう「滞納リスク」のほうが、対応が難しいといえます。
滞納が発生したら、大家としては動かず、管理会社に対応を依頼するようにしましょう。
不動産投資のデメリット⑤建物の老朽化や修繕リスクがある
不動産投資では、建物の劣化による修繕が発生するリスクがあります。そのため、購入時に建物の状態をしっかり確認することが大切です。
特に、中古物件は、購入後すぐに大きな修繕が発生し、予想外の費用が発生するリスクがあります。
できれば購入時に一級建築士などの専門家に同行してもらい、リスクを判定してもらうようにしましょう。
不動産投資のデメリット⑥売却価格の変動リスクがある
不動産価格は、急激な価格変動はないものの、市場動向などによって上下します。将来不動産を売却する際に、不動産価格が下がっていた場合は、大きな損失が出る可能性があります。
ただし、不動産を長期することで、売却時に損失がでるリスクを減らすことが可能です。
国土交通省が発表する「不動産価格指数」によると、不動産価格指数の推移は以下のようになっており、長期的には、戸建て住宅・マンション(区分所有)ともに価格が上昇していることがわかります。
|
戸建て住宅 |
マンション(区分所有) |
2010年4月 |
100.2 |
99.2 |
2020年4月 |
100.8 |
152.4 |
2024年4月 |
116.9 |
199.5 |
特に、マンション(区分所有)の価格上昇幅は大きいことが特徴です。将来不動産の売却を想定する場合は、マンション(区分所有)を検討すると良いでしょう。
不動産投資のデメリット⑦災害リスクがある
不動産が火事や地震などの災害で損害を受けたり、なくなってしまったりするリスクがあります。
不動産購入時にはハザードマップを確認し、災害リスクが少ない物件を選ぶようにしましょう。
また、万が一のために、地震保険や火災保険に必ず加入するようにしましょう。
不動産投資のデメリット⑧金利が上昇するリスクがある
金融機関から融資を受けて不動産を購入する場合は「変動金利」か「固定金利」を選べます。
変動金利は、市場金利に合わせて定期的に金利が見直されます。そのため、金利が上昇した場合は毎月の返済額が高くなり、収益が悪化する可能性があります。
固定金利は、一定期間金利がかわらないものの、変動金利よりも金利が高く設定されているため、返済額は多くなります。
2024年11月の、ある金融機関の住宅ローン金利は以下のようになっており、変動金利が最も低く、固定期間が長くなるほど金利が高くなることがわかります。
金利の種類 |
金利 |
変動金利 |
0.375%~ |
固定11年~15年 |
1.51%~1.76% |
固定16年~20年 |
1.64%~1.89% |
固定21年~25年 |
1.73%~1.98% |
固定26年~30年 |
1.80%~2.05% |
固定31年~35年 |
1.85%~2.10% |
日本では、長く低金利が続いたため、今後は金利が下がる可能性はほぼなく、上がっていくと予想されます。
不動産を長期保有する場合は固定金利、10年以内に売却を考えている場合は、変動金利を検討すると良いでしょう。
不動産投資のデメリット⑨流動性が低いリスクがある
不動産は、流動性が低く、売買しづらいというリスクがあります。
例えば、株や投資信託を現金化したい場合は、数日で簡単に換金できます。しかし、不動産の場合は査定をして売りに出し、買主を見つけて契約・入金・引き渡しという流れになり、現金化できるまで数か月はかかります。
何らかの原因ですぐに現金が必要な場合は、対応しづらいというリスクがあります。
将来不動産を売却する予定がある場合は、比較的買主が見つかりやすい、都心部の区分マンションを検討すると良いでしょう。
不動産の種類ごとのメリット・デメリット
投資用不動産は、大きく分けて「新築区分マンション」「中古区分マンション」「マンション・アパート一棟投資」「戸建て投資」の4種類があります。
それぞれの不動産のメリット・デメリットを解説しますので、しっかり理解しておきましょう。
新築区分マンションのメリット・デメリット
項目 |
メリット |
デメリット |
購入価格 |
・新築のため初期の修繕費が不要 ・新築は人気のため賃貸需要が高い |
・中古物件と比較すると価格が高く、初期投資額が大きい
|
設備や性能 |
・最新設備や高断熱性能で快適に過ごせる |
・築年数が経過するごとに設備の陳腐化が進む可能性がある |
収益 |
・賃貸需要が安定している場合は、安定的な収益が期待できる |
・時間が経過すると中古物件となるため、賃貸料が下がる可能性がある |
管理・維持費用 |
・新築時は修繕がほぼ不要なため維持費が低い |
・時間の経過に従い、修繕費用が発生する可能性がある |
新築区分マンションは、最新の設備や高い性能を備えており、初期の修繕費がほぼ不要である点が魅力です。
新築ならではの安心感から賃貸物件として人気があるため、空室リスクを低く抑えられることもメリットです。
一方で、中古物件よりも購入価格が高くなるため、初期投資額が大きくなるというデメリットがあります。
また、築年数が経つにつれて「中古物件」となり物件価値が下がる可能性があるため、長期的な計画をしっかりと立てて投資する必要があります。
中古区分マンションのメリット・デメリット
項目 |
メリット |
デメリット |
購入価格 |
・新築よりも価格が低いため、初期投資を抑えられる |
・築年数が古いため、資産価値が減少しやすい |
設備や性能 |
・リノベーションをすることで高い価値を生み出せる可能性がある |
・設備が古く、修繕が必要になる場合が多い |
収益 |
・賃貸物件としての実績があるため、収益予測を立てやすい |
・競争が激しいエリアでは収益が安定しない可能性がある |
管理・維持費用 |
・管理費や共益費が明確になっているため、確認しやすい |
・築年数が増えるにつれ修繕費や維持費が高くなる可能性がある |
中古区分マンションは価格が比較的低いため、初期投資額を抑えられることが魅力です。また、賃貸物件としての実績がわかるため、収益の予想を立てやすいというメリットもあります。
一方で、築年数が経過していると修繕費の発生する可能性が高くなるため、管理費・維持費が予想以上にかかるリスクがあります。
また、設備が古すぎる場合は、入居者がなかなか決まらないケースもあり、投資に悪影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
マンション・アパート一棟投資のメリット・デメリット
項目 |
メリット |
デメリット |
初期投資 |
・初期投資費用は高額になるが、スケールメリットによる高収益を目指せる |
・購入価格が高額になるため、融資審査が厳しくなる傾向がある |
収益 |
・複数の部屋から賃料収入が得られるため、収益が安定しやすい |
・空室が増えるとコストと収益のバランスが崩れ、経営悪化につながる可能性がある |
資産価値 |
・土地を含むため、土地の価値が高ければ資産価値が安定する |
・築年数や立地によっては建物の価値が下がるリスクがある |
管理自由度 |
・全体管理が可能なため、リフォームやリノベーションの自由度が高い |
・一棟全体の修繕や維持管理になるため、費用が高額になることがある |
マンションやアパートの一棟投資は、区分投資に比べて多くの部屋を所有できるため、複数の賃貸収入を得られる点が大きな魅力です。
また、土地と建物を購入するため、土地の資産価値が高い場合は、安定した運用効果が期待できます。
さらに、建物全体を自分で管理できるため、運用の自由度が高いこともメリットといえます。
一方で、購入価格が高く融資審査のハードルが高いこと、空室が増えると収益性が下がることがデメリットです。
空室があった場合でも、管理費や修繕費・維持費は一棟分必要になるため、コストがかさむリスクがあります。
戸建て投資のメリット・デメリット
項目 |
メリット |
デメリット |
購入価格 |
・初期投資額が比較的安い。特に、地方や郊外で割安な物件が多い。 |
・立地や築年数によってはリフォーム費用がかかる。 |
設備や性能 |
・自由にリフォームやリノベーションができるため、オーナーの意図で設備を向上させることが可能。 |
・設備が老朽化している場合は、大規模な修繕・交換が必要になることがある |
価格の変動 |
・土地も保有しているため、土地価格が上昇すれば資産価値が増す可能性がある |
・地方や需要の低いエリアでは、地価が下落するリスクがある。築年数が経過すると、建物の価値がほぼゼロになる可能性もある。 |
管理・維持費用 |
・月々の管理費や共益費・修繕積立金が不要。 |
・修繕日やメンテナンス費用はすべてオーナー負担となるため、突発的な出費が発生することがある。 |
戸建て投資はマンションに比べて価格が安い場合が多くなっています。特に、地方や郊外では手頃な物件を見つけやすく、初期費用を抑えられるというメリットがあります。管理費や修繕積立金などのコストがかからない点も魅力です。
一方で、修繕費用はすべてオーナー負担のため、屋根や外壁の修繕、水回り設備の交換などが発生した場合、まとまった費用がかかる場合があります。
また、戸建てはマンションに比べて流動性が低いため、売却したいタイミングで買い手を見つけるのが難しいというデメリットもあります。
不動産投資を成功させるポイント
不動産投資を成功させるには、おさえるべきポイントをしっかり把握して、計画的に投資計画を立てることが大切です。ここでは、2つの重要なポイントを紹介します。
周辺相場や物件価値を調査して購入する
不動産を購入する際は、周辺の環境や賃貸相場、物件価値を綿密に調査しましょう。
同じ間取りや広さ、築年数の物件と比較することで、家賃収入を見積もることができます。調査を行う際は、感覚に頼るのではなく、データなどをもとに冷静に判断することが大切です。
競合が多いエリアでは、空室リスクが高くなるため注意しましょう。
長期的なリターンを念頭に置く
不動産投資は、短期的な利益ではなく、長期的なリターンを目指す投資手法です。
長期的に安定したリターンを得て、不動産そのものの価値を維持・向上させるための物件選びのポイントは以下のとおりです。
- エリアの需要や物件の状態を慎重に見極める
- 土地や建物の資産価値が下がりにくい物件を選ぶ
- 定期的なメンテナンスやリフォームで物件の価値を維持・向上させる
- 賃貸需要が高いエリアや人口増加地域を選ぶ
- 空室や修繕に対応できるように余裕を持った資金計画を立てる
不動産投資を始める場合は、将来を見据えた長期計画を立てて進めるようにしましょう。
不動産投資が向いているのはどんな人?
不動産投資について詳しく解説してきましたが、不動産投資に向いている人はどのような人なのでしょうか。
自己資金がある人
不動産投資は、まとまった初期費用がかかることから、自己資金がある人に向いています。
不動産取得の際は融資の審査に通る必要がありますが、保有資産が多いほうが融資を受けやすいという利点もあります。
不動産投資にチャレンジしたくても、自己資金がないためにあきらめるケースもあります。
ある程度の自己資金がある人は、投資法のひとつとして、不動産投資を検討してみることをおすすめします。
安定した収入がある人
不動産投資は、会社員など安定した収入がある人は不動産投資に向いています。その理由は以下のとおりです。
- ローン審査に通りやすい
- 空室が出た場合でも、本業の収入でカバーできる
- 安定した収入があると、あせらず中長期的な視点で運用できる
このように、安定した収入がある人は余裕をもって運用できることから、不動産投資と相性が良いと言えます。
堅実な投資をしたい人
不動産投資は、株や投資信託のように大きな値上がり益を見込める可能性は低いものの、コツコツと安定した収益を得られることが魅力です。
不動産投資は大きなリスクを取らずに、長期にわたって安定した収益を見込めるため、「堅実な投資をしたい」という人に向いています。
不動産投資をはじめやすい職業は?
不動産投資を始めやすい職業としては、「サラリーマン」「医師や看護師」「公務員」の3種類が挙げられます。
医師や看護師
医師や看護師は、不動産投資に向いている職業といえます。理由は以下のとおりです。
- 安定した収入がある
- 長期的な運用が可能
- 社会的信用が高い
- 本業の収入が高いため、空室リスクに対応しやすい
医師や看護師は、社会的な信用が高く融資の審査に通りやすいこと、本業の収入が比較的潤沢にあることから、不動産投資に向いています。
また、医師や看護師は本業が多忙ですが、不動産管理会社に委託すれば、手間をかけずに不動産投資ができることも魅力となっています。
サラリーマンや公務員
一定以上の安定した収入があるサラリーマンや公務員は、融資の審査に通りやすいことから、不動産投資に向いています。
また、本業の収入を定期的に得られるため、空室リスクにも対応でき、余裕をもった運用ができることもメリットとなっています。
一方、個人事業主は融資審査に通りにくい傾向があるため、事前に金融機関に相談すると良いでしょう。
まとめ
この記事では、不動産投資のメリットやデメリット・リスク、その対処法について詳しく紹介しました。不動産投資は、長期にわたって安定した収益を得られるなど、さまざまなメリットがありますが、同時にデメリットや気を付けたいリスクもあるため、不動産投資についてよく理解することが大切です。
不動産投資の初心者の人も、知識を学んでしっかりとした長期計画を立てることで、不動産投資を始めることが可能です。不動産投資に興味を持っている人や、取り組んでみたいと思っている人は、将来に向けた一歩をぜひ踏み出してみてください。
伊藤久実
伊藤FP事務所代表。ファイナンシャルプランナー(AFP)兼ライター。大学卒業後、証券会社・保険コンサルタントを経て事務所代表兼フリーライターとして活動を始める。家計の見直しから税金・保険・資産運用まで、人生の役に立つ記事を幅広く執筆している。